本書は,1999年(平成11年)7月25日,中華人民共和国・チベット自治区のポタラ宮殿において発見された『維摩經』ならびに『智光明莊嚴經』のサンスクリット原典を世界にはじめて公開するものである。
『維摩經』のサンスクリット原典は失われて現存しないとされ、その思想的重要性にもかかわらず、研究手段が非常に制限されておりました。
このサンスクリット写本からのローマ字転写テキストは、原語による思想研究に対してはもとより、大乗経典の成立史にも新たな光明を照らすものと考えられます。また、玄奘・羅什らの漢訳や、チベット語訳などがどのように成立したかを解明するための糸口ともなりましょう。
御寺院・図書館はもとより、大乗仏教・インド思想に関心を持つすべての研究者に必携の書といえましょう。
大正大学前学長 松 濤 誠 達 推薦のことば
『維摩經』原典は研究者にとって憧憬の的であった。ある研究者は,サンスクリット原典に非常に忠実であるとされるチベット語訳に基づいて,サンスクリット・テキストの再構成を試み,それを達成した。そのための時間と労力とは誠に賞讃に値する。しかしながら,それは今回発見された原典に照らして,相当に隔りのあるものと言わざるを得ない。
ともあれ,そのように研究者待望の『維摩經』梵文写本が大正大学によって見出され,梵藏漢対照テキストが出版されたいま,大乗佛教の研究に新たな局面が開かれるものと大いに期待されるところである。
また,同様に梵本が未発見であった『智光明莊嚴經』に関しても,如来藏思想の形成に大きな役割を果たした經典とされ,大乗佛教におけるその重要性は疑うべくもない。
仏教にとって貴重な財産であるサンスクリット原典が、このような形で広く世界中に公開され、共有の財産となることはたいへん慶ばしいことと考えられる。
目 次
第1部:『維摩經』『智光明莊嚴經』解説 (122頁)
緒言 松濤誠達
出版に寄せて 多田孝文
略号
『維摩經』解題
<付録1> 他書における引用との対照 鈴木晃信・古宇田亮修
<付録2> チベット訳維摩經について 前田崇
<付録3> 維摩經に関する文献目録 古宇田亮修
『智光明莊嚴經』解題 高橋尚夫・大塚伸夫
English Summary YONEZAWA Yoshiyasu
『維摩經』『智光明莊嚴經』梵文写本の書体 古宇田亮修 見本 (PDF file 231KB)
第2部:梵藏漢対照『維摩經』 (511頁+vi頁) 見本 (PDF file 173KB)
第3部:梵藏漢対照『智光明莊嚴經』 (202頁+x頁)
●判型:B5判(箱入)
●刊行日:2004年3月18日
●ISBN : 4-924297-19-4
●価格 13,650円(消費税・国内送料込み)
写真は発見された維摩經写本(78葉目)
